END
「夜」

明るいところから、暗いところへと、目をこらすとき
しばらくは、目がなれない。
まずはもやもやと、そのうち、ぼおっとしたものが
すこしずつ、だんだんと、見えるようになってくる。
はっきり、くっきりは見えないから、
てさぐりで、ふれるように、さわるように、ものを見る
わたしの夜の写真は、まさしくそんなかんじだ。

いつもは、はっきり、くっきりものをみるカメラも、
夜の闇のなかでは、どこかおぼつかない。
でも、なにかがはっきりうつるよりも、
なにかわからないものがうつってきたほうがおもしろい。
カメラという暗箱にはいった光が、じゆうにうごめき、
おもいがけない像をつくる。
それはひかりの魔法のようで
レンズがひきよせたぐうぜんの奇跡でもある。

そんな魔法をもっとみたくて、しゃしんをつづけている。


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